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TBS、阪神電鉄、楽天、USEN、そして村上ファンド

今回は経済とスポーツについて。

阪神電鉄株を大量取得してメディアに露出する機会のめっきり増えた村上氏。次いで浮上したのが楽天によるTBS株の大量保有会見に絡み村上ファンドも一定量のTBS株を保有していることが判明したことはニュースで知られた通り。

経営統合やタイガース上場など、いろいろ物議を醸すネタがたっぷりの一連の騒動なんだけど、メディアも含めてそれぞれが自分の立場で発言してるので、個人的なメモの意味をこめてまとめと考察をやってみようと思う。

■まず、村上氏の狙いは何なのか?

投資ファンド「M&Aコンサルティング」代表である彼の役目は、投資家から預かった資本を原資に投資をして対象の企業価値を高めて株価を上げてその差益で収益を出して投資家に還元することだ。

記者会見などで彼が言うように、阪神電鉄を乗っ取って社長に納まろうとか、タイガースについてもチームオーナーでござい、などというような思惑はないだろう。単純に阪神電鉄の株式時価総額よりも阪神が保有している不動産などの資産の方が価値が高いという「含み資産」をより効率的に運用して企業価値を高めて株価を上げようという算段なのだと思う。TBS株にしても同様で、含み資産を効率運用させて株価に反映させて差益を稼ぎたいのだと思う。

今回の投資先がたまたま世間によく知られた企業である、というだけで彼の基本的な経営(というか営業)姿勢はこれまでと変わらないと思う。メディアに多く露出するという面に対してはメリットとデメリットがあるが、メディア側の扱いとしては否定的な事例が多く見受けられるものの、それを凌駕するメリットが彼にはあるのかもしれない。ひとまずはタダでメディアに名前がばんばんでるので宣伝にはなっているだろう。ただ、立ち回り方を間違えると危ないということはあるだろうけど。

■TBSと阪神はどうするべきか?

両社はともに上場企業なわけで、会社を運営するための資本を市場から集めている以上、大株主となっている楽天や村上ファンドの言葉を無視するわけにもいかない。楽天の三木谷社長にしろ村上氏にしろ経営権をよこせと(今のところは)言ってないのであり、あくまでも双方にとってメリットのある方策を模索しましょう、というスタンスだ。

ただ、その声のかけ方とタイミングがこれまでの商習慣ではないことがTBSや阪神の困惑の原因だ。これまでは経営陣を頂点として自社の舵取りを行ってきたが、上場企業にとってのスポンサーである投資家という「さらに上」からのアプローチという、経験のない事態にどう対応すべきかと悩んでいる。

企業は誰の物かという問いに、「社長と従業員のもの」と単純に答えていられた時代や制度ではなく、少し前からは「お客様のものでもあります」としていた時期を過ぎ、「投資家のものでもある」と広く世間に答えなくてはならない時代がようやく来たと言うことなのかもしれない。

ではどうすべきか。楽天はともかく村上ファンドが目を付けたということは企業価値が株価に正しく反映されていないという判断なのだから、そのための努力をすべきだろう。放送、鉄道という公共性の高い企業とはいえ、上場して資本を募って経営している以上、投資家への利益還元は上場企業の経営者としての怠らざる責務だ。

■IT企業の狙いは?

放送と通信の融合というのはブロードバンドの普及によりさらに加速していくだろう。その巨大にならんとしている市場に得意分野を持ち寄って勝ち組にまわろうとするのは経営者としては当然の行動だ。ライブドア騒動でもホリエモンの中には将来像としてそうしたものを見据えていたことはわかっていたことで、今回の三木谷社長は過去の事例をふまえてなるべくソフトランディングできるような言い回しをしている。

融合というからにはどちらからその提案がなされてもおかしくはないのだが、いかんせん放送は許認可事業として長らく不動の地位を得ていただけに身動きが悪かった。こうした行動はやはり後進の「伸びてきたヤツ」が積極的にアプローチしてくるのは歴史の通例ともいえる。しかもその方法は往々にしてドラスティックだったりする。仮にTBSが通信との融合を手がけようとしたとしても、例えば子会社作って傘下におさめるとかいうような「地味な」展開になるだろうし、そうなればメディアがこれほど食いついてきたりはしなかっただろう。

TBSにしてみれば「俺たちゃ今までわりとぼちぼちやってたんだよ、それなのになんなのオマエらいきなり上がり込んできやがって、その勢いで俺らを食っちゃうの?」という思いなのかもしれない。だが上場企業としての危機意識が足りなかったという点ではフジと大差ない。MBOかける財力も根性もないのに、楽天が躍り出てきて「当惑してます」とか言ってるようじゃダメでしょう。

ただ、楽天がTBSと業務提携することによる弊害のトップとしてあがっている案件にベイスターズがある。これについてはUSENに売却してはどうかという打診もあるがどうなんだろう。もしかしたら大逆転で楽天がイーグルスを手放すなんてことはないだろうか。

で、そのUSENにしてもNTT東とオンデマンド配信で提携という地固めを行っている。もはや電波だけが映像コンテンツの発信地ではないのだから、放送側もいつまで安穏としてられるかわかったものではない。なればこそ、TBSはこの提携案を蹴っ飛ばして内に篭もる愚はおかすべきではないと思う。しっかりと交渉して自社の生き残りを確保しつつ企業価値を高める道筋を探るべきだ。

■プロ野球(プロスポーツ)について

球場の入場料や放送権料などの対価を取って選手に報酬を払い運営するプロスポーツは、ファンがいくら銭金のことをからめないでくれと言ったところで市場経済の原理からはずれることはできない。「金ではない」と高らかに宣言できるのは、金の心配をしなくていい人間であって、そうでないなら純粋に趣味としてのスポーツになる。

金を出す以上はクチも出す。これはごく当たり前のことで、給料を払っている従業員に対してあーしろこーしろと口やかましく言う社長というのは世の中に山といるのだし、店で買った商品に不満があればその店やメーカーに文句を言うのも日常的なものだ。投資家が投資先に発言をしてなにが悪いのか。プロ野球のファンだって球場に足を運び入場料を払って試合を見ている。ふぬけたプレーを見れば「バカやロー!金返せ!」と野次を飛ばしている。

金は天下の回り物だ。自分たちから回る金もあれば投資サイドから回る金もある。銭金じゃなくスポーツを見ているのだというのは個人の自由だが、プロスポーツには巨大な金が回っているのだということは頭にいれておくべきだと思う。

以上、けっこうぐだぐだと書いたけどひとまずはこんなところで。

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